合気道とは

合気道は、日本の伝統的な古武道を極めた植芝盛平翁が、これら古武道の真髄を集大成して開いた現代武道です。合気道という名称が示すとおり、「気」を重んじることに最大の特徴があります。
「気」という言葉には、空気や大気のような目には見えないが実体のあるものを意味するものと、生気や活気、覇気など、目には見えないある種の力、生命力の活動を支える要素を意味するものがあります。
開祖・植芝盛平翁は、「合気」の究極の境地を”生命活動の根源である「気」を絶妙に活用することによって、五体は活性化し、自分の意のままに動くようになる。心身一如の境地”と説いています。つまり、呼吸の微妙な変化を体得することで呼吸力を養い、「気」を活性化しようというわけです。
そして開祖は、「心」と「肉体」と、それを結ぶ「気」の三つが完全に一致することによって、ご自身の心と肉体の調和が達成されることを悟られたそうです。これが、合気道が理念とする「気・心・体の統一」ということなのです。
合気道の動きは調和を重んじています。自然の摂理にかなった、無理のない流れとなっていて、1つの動きから別の動きに移るのも、とても滑らかに行われます。切れ目のない、流れるような動きの連続といってもよいでしょう。無理のない自然の動きを身につけることによって、心身の調和を得ることができるといわれています。
このように、合気道は、自然と自分の調和、心と肉体の調和を目指しながら、人間本来の生命力を高め、精神力を活性化し、精神の安定に導いてくれます。また、さまざまな「もの」や「こと」との調和が基本となっているため、勝敗にこだわらない武道として歩み発展してきています。
したがって、合気道では勝敗を争う試合は行いません。互いに争うことなく、心身を鍛錬することに専念し、厳しい中にも和気藹々と肌を触れ合い、汗を流し合う稽古を通じて、友愛・友好を分かち合い、深め合うことができます。
合気道に入門した子供たちは、「礼儀」や「けじめ」を重んじる武道としての稽古によって、落ち着きが出てきて、礼儀正しさが自然に身につきます。そして、合気道の基本動作は、”気を出す”、”力を出す”というように、「気力を内にこめず外に向かって出す」ことを重点に置いています。また、動き自体も自然の動きに順応して無理がありません。
このような稽古を通じて、明るく素直な性格が養われていき、体技を通じて心身共にたくましさが備わることが期待できます。

(参考)すばらしい合気道 植芝吉祥丸著:成美堂出版